川瀬巴水

やっと安定した天気になってまいりました。
五月晴れになるのでしょうか

株価が2万円を超えるとか超えないとか世間は喧しいほど騒いでいますが
其の業界の格言に 人の行く裏道に道あり花の山 があります。

先月お話していた川瀬巴水の版画はそれを地でいく雰囲気があるのです。

先月 茨城キリスト教大学で 川瀬巴水の版画 と題して林望の講演会がありました。
書誌学の専門家であり種々の本を出版されている芸大の助教授であった林望先生で
川瀬巴水の見ていたもの-其の版画に残された美しい日本版画 の講演会でした。
無くなってしまった美しい日本の風景 特に茨城に関しての風景版画の造詣深い話で
非常に感銘を受け聞かさせて戴きました。

夕暮れや夜明けのような光と影、夜の水面に写る月明かりや電灯、雑木林からみた青い海と白い雲、
夕暮れの山の頂に照らされる夕陽、暗い路地の先にみえる山の夕暮れといった
コントラストが言葉にできないノスタルジーに誘うからなのでしょうか。
この郷愁の感覚は、川瀬巴水が生きた大正・昭和期の風景に影響されるところが大きいのかもしれませんが、
この光りと影のコントラストが現代に生きる様々な喜怒哀楽や切なさを思い起こさせるのかもしれません。

アップルの創始者である故スティーブ・ジョブズ氏も愛好して作品を収集していたといいます。

牛堀,潮来,浮島,麻生,土浦,磯浜,涸沼,水戸,河原子,水木,五浦,平潟,金郷,袋田の滝
茨城のあまり有名でない,但し情緒深い風景をも数々残しています。

江戸時代の日本の風景 人情 子供の屈託の無さ等
チェンバレンは「あのころの社会はなんと風変わりな、絵のような社会であったか」とのべています。
『日本事物誌』(平凡社東洋文庫)
大森貝塚を発見したモースなどもそのようなことを語ってくれています。
『日本その日その日』(東洋文庫) 彼の絵が上手 微笑ましいです。

その時にはわからないが時間がたってみてはじめて分かることがありますし
距離があまりにも近くに居ては分からないことも多いのです。
遠くより眺むればこそ白妙の富士も富士なり 筑波峰もまた

江戸の末期に訪れた外国人によく 当時の貧しいなにもない一般庶民の日本人が賞賛されていますが
そうした本の中で そのような本を纏めた 逝きし世の面影 渡辺京二(平凡社ライブラリー)が秀逸でしょう。
無くなってしまって逝く原風景 これを残す事がモチベーション モメンタムになっているのでしょうか。

それに比べて現在の世の中は如何
そこで一首
五月晴れ 上げて下げての鯉幟 古書の価格は 天地ご無用

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