羊に関して

あらたしき年の始めの初春のけふ降る雪のいや重(し)け吉言(よごと)
     万葉集最後を飾る歌 巻20・4516 大伴家持
本年も宜しくお願い申し上げます。
今年は
  平成27年 昭和90年 大正104年 明治148年 にあたります。
  羊の歳です。今回は干支に因んで 羊に関してのおはなしです。
1.美 善 義 、「羊」を含んだ漢字には特別な価値観をもっています。
  羊 正面から見た羊
  美 上から見た羊    成熟した羊の美しさを 美と言った        よい ほめる
  善 真ん中に正面から見た羊+両脇に言葉を記した裁判用語        よい ただしい
  義 羊+我 我は鋸の形 羊を鋸で斬って 犠牲のするのが義    ただしい よい
    下記がその解説です。
2.白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい 小山 鉄郎著 によれば
        「最善」「正義」「優美」などの熟語を並べてみれば、「羊」を含(ふく)んだ漢字には特別な価値観が潜(ひそ)んでいることが理解できると思います。
    それは羊が神への生けにえとして最高のものであり、古代中国ではこの羊を神に提出して争い事を裁く「羊神判」というものが行われるほどの動物だったからなのです。
    それゆえに「羊」の字形を含んだ漢字はたくさんあります。
    その羊神判の様子をそのまま表している漢字が「善」です。これは「善」の元の字形「譱」を見ればよくわかります。
    「譱」は「羊」をはさんで左右に「言」の文字が並んでいます。これは争い事の当事者である原告と被告(ひこく)の双方(そうほう)が「羊」を神の前に差し出して、それぞれの主張を述べている文字なのです。
    このように行われる羊神判で、神の意思にかなうことが「善」となり「ただしい」「よい」の意味となったのです。
    この羊神判の際には、原告・被告の主張する言葉を詳(くわ)しく調べました。そこから生まれた漢字が「詳(しょう)」で、「くわしい」の意味となりました。
3.貝と羊の中国人 加藤徹著    新潮新書    によれば
    一神教的で無形の主義を重んじた周人の羊の文化
    殷を滅ぼした周は羊に基づく西方の遊牧文化の民だった。東方農耕民族の殷人が多神教的だったのとは反対に西方の遊牧民族的周人は一神教的だった。
    一神教的神は目に見える物質的な捧げ物より、善、義、儀など抽象的な行為を好む。
    これらの漢字には羊が含まれている。その他、美、養、犠、議、羨など、抽象的な行為に関するものが多い。
4.不思議に思っていたことのひとつに 羊羹はなぜ羊羹というのでしょうか?
    下記の如く和菓子のwebサイトでは説明されています。
        羊羹とは、本来「羊の羹 (あつもの)」、つまり羊肉入りのとろみのある汁物でした。
        鎌倉~室町時代、禅僧が点心 (食間に食べる小食) の一つとして中国から日本に伝えました。
        しかし、禅僧は肉食を禁じられていたため、日本では小豆や葛、小麦粉を用いた見立て料理に変化し、
        そのうち現在でいう蒸羊羹に近いものになっていったと考えられています。
        江戸時代になって寒天が発見されてから、現在一般的な煉羊羹が登場し、今に至っています。
5.羊頭狗肉とは
        見かけや表面と、実際・実質とが一致しないたとえ。良品に見せかけたり、宣伝は立派だが、実際には粗悪な品を売るたとえ。
        羊の頭を看板にかけながら、実際は犬の肉を売る意から。
6.そのほかの「羊」を含む四字熟語
    四字熟語では あまり良い意味の言葉ではないようです。
            多岐亡羊     たきぼうよう            進路や方針が多すぎて何を選ぶべきかわからなくなること。
            羊裘垂釣     ようきゅうすいちょう    世間から離れてのんびりと暮らす隠者のたとえ。
            羊很狼貪     ようこんろうどん        荒々しく道理に背き、どこまでも貪欲なこと。
            羊質虎皮     ようしつこひ            外見は立派だが、中身が伴わないこと。
7.クラシック音楽では 羊は安らかに草を食み と題するバッハ作曲のカンタータがあります。
        羊は安らかに草を食み 『Sheep May Safely Graze』
        『羊は安らかに草を食み』は、バッハ作曲のカンタータ『楽しき狩こそわが悦び』BWV208の第9曲。
        通称『狩のカンタータ Hunting Cantata』。『Sheep May Safely Graze』とも題される。
8.今年はどうなるのでしょうか。
    国民たる羊は アベマリアならぬ B線上の安倍コベ道を 道草をくいながら 一線を越えて はみだして行くのでしょう。
    羊のウソップ物語でした。

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